2025年 インスタレーション

願いを込めて黄色い紙飛行機を飛ばす。薄暗い部屋の中で、紙飛行機が飛んでいる映像がプロジェクターによってカーテンに投影されている。カーテンには双葉町の至る所にある柵がプリントされており、まるで紙飛行機が柵の上の飛んでいるかのように見える。ランダムなタイミングでカーテンが開く。窓の外の太陽光が部屋に入ることで部屋が明るくなり紙飛行機の映像は見えなくなってしまう。すると、私たちの目には黄色い紙飛行機の残像が残り、窓の外の「現実の空」に「青い紙飛行機」が飛んでいる様子が一瞬だけ見えるだろう。これは補色残像効果である。プロジェクターから発せられた光によって、黄色い飛行機は不自然なほど空高く、長時間空を飛び続けている。その映像(光)が太陽光に干渉され、消えてしまったとしても、私たち人間の目は現実の空に架空の飛行機の姿を描くことができる。人間の肉体には想像力が備わっている。私たちが思い描くことができるのは、きっと実現可能なものだ。映像(人工物)という作為なしに、私たちは希望を持ち、未来を自由に描くことができる。それはきっと前に進むための力になるはずだ。私は双葉町に訪れて、過去を忘れてはならないと感じた。同時に、未来へ向かって動き出すための原動力になりたいと考えた。人の力を信じて、互いの想像力を持ち寄り、双葉の明るい未来を考えたい。

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