2023年 5分30秒 シングルチャンネルビデオ
 
 イソップ童話の『卑怯なコウモリ』を引用した。コウモリに自分自身のの状況を重ね、セルフケア、あるいは既存の枠組みの中に自己を結びつける意味(つまり、アイデンティティを決定すること)への問いかけとして、私自身の身体性を提示することを目指した。私は日本で育ったが故に湯船に浸かる習慣を持つ。体には2つの国旗がまとわりついている感覚が存在しながらも、私は外見的特徴からは「見えない混血」である。つまり、コウモリのようになることも叶わない。自分自身でカミングアウトしない限りは日本人として生きる事が叶ってしまう。映像内で作者と共に湯船に浸かる国旗は、水溶性の絵の具で描かれており、国旗という表象は湯に溶け、赤く染まっていく。脱色され色が薄まった2つの国旗は、もはや白い布へと変わり果てる。

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